昨今、よく耳にするようになった「生成AI」ですが、実際にはどんな働きをするのでしょうか。生成AIの中ではchatGPTが有名で、あまりAIに詳しくない人でも名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。この記事ではchatGPTとは何なのか、chatGPTではどんなことができるのかを解説します。さらに2024年2月に新たに追加された「memory機能」についても解説していきます。
chatGPTとは?改めて解説
chatGPTとは何でしょうか。chatGPTはアメリカにあるOpenAIという会社が開発した生成AIのモデルの名前です。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略称ですが、ジェネレイティブというのが「生成」のことで、様々な情報を学習させることでAIが自動的に的確な回答をしたり、必要な資料などを作成するようになるシステムのことです。
Chatという言葉からも想像できますが、chatGPTは基本的に対話を主とする生成AIです。基本的に13歳以上であれば誰でもアカウントを作成して利用することができますが、18歳未満の未成年はアカウントの作成に保護者の許可が求められます。
chatGPTを使って会話したり、質問に答えてもらうことを実験している様子を見たことがあるかもしれません。chatGPTには大規模言語モデルが使用されており、このシステムによってAIは質問に対して的確な回答をすることが可能になります。ちなみにchatGPTを使うために、AIにいろいろと学習させる必要はありません。このモデルは学習済みなので、使用を始めた時からいろいろな質問への回答を得ることができます。そして、会話をしていくうちに回答の間違いを指摘すればAIはさらに学習していきます。学習を重ねたAIはより精度の高い回答をすることができるようになります。なお、chatGPTは対話型のAIですが、対話による質問回答だけでなく文書や資料の作成も可能です。さらに有料のモデルであるGPT-4.0では、画像生成や音楽や動画の生成もすることができます。
ビジネスシーンにおけるchatGPTの使い方
chatGPTは使い勝手の良い生成AIですが、ビジネスシーンにおいても幅広い用途で活用することができます。以下、使用例を紹介していきます。
●情報収集や相談
chatGPTの最も有名な機能は対話をしながら質問に回答してもらうことでしょう。対話をしている感覚で情報収集や調べものをすることができるため、検索エンジンでするよりもスムーズに調べものをすることができます。やり取りを重ね、質問を続けることでより細かな情報を得ていくことが可能です。
こうしたチャット機能を利用して、いろいろな相談をすることもできます。企業や商品サービスの情報を学習させることにより、企業や商品についての問い合わせに対応するチャットボットとして活用することができます。
●文章の作成
チャットボットなどで活用されるイメージが強いAIですが、文書の作成も行うことができます。文章に含めて欲しい情報を入力するだけで、AIが自動的にテンプレートの文章を作成してくれます。また、既存の文章をAIに要約してもらったり、校正してもらうことも可能です。
文章作成の機能を利用すれば、会議で必要となるプレゼン資料や書類の作成をサポートしてもらったり、顧客や取引先などに送るメールの草案作成を手伝ってもらうことができます。もちろん、AIが作成したものが完璧というわけではありません。所々に不自然な表現がありますし、間違った情報が記載されることもあります。最終的なチェックや修正は必要となりますが、大きな業務効率化を図ることができるでしょう。
●翻訳
chatGPTは多くの言語に対応しており、翻訳作業も簡単にすることが可能です。日本語の資料や書類を別の言語に翻訳することもできますし、逆に英語や中国語などの外国語で書かれた文章を日本語に翻訳することもできます。
●プログラミング
プログラミング言語を使ってコードを書くことはエンジニアの主な仕事ですが、AIにコーディングをサポートしてもらうことが可能です。特定のプログラミング言語を選択し、AIに質問することでその言語のサンプルとなるコードを取得することが可能です。また、プログラミングに何かのエラーが生じた時にはAIにその原因を特定してもらったり、コーディングの訂正をしてもらうこともできます。
もちろん、AIの精度はまだまだ人間には及ばないため、情報の正確さや自然な日本語表現になっているかなどはきちんとチェックする必要があります。しかし、ビジネスシーンにおいてchatGPTを活用すれば業務の効率化を図ることができます。実際に業務に取り入れている企業もたくさんあります。
chatGPTの新しい「memory」機能とは
最近、chatGPTに新しく「memory」と呼ばれる機能が追加されました。このmemory機能にはどんな特徴があるでしょうか。memory機能はその名称の通り、chatGPTで行った対話の内容を「記憶」していく機能のことです。chatGPTはユーザーをした対話からいろいろなことを学習して「記憶」します。ユーザーの好みや傾向を「記憶」したchatGPTは、よりユーザーの求めることに沿った回答ができるようになっていきます。
memory機能が追加される以前、ユーザーが求めることに沿った回答をしてもらうためには、chatGPTを使用する前に条件を設定したり、情報を入力しておかなければなりませんでした。そして、一度チャットが終わった際には対話の情報もリセットされていました。しかし、この新たなmemory機能により、chatGPTは毎回の対話情報を「記憶」していくため、チャットをする度に条件の設定をする必要はありません。
memory機能は自動的に作動するよう設定されていますが、機能をオフにすることも可能です。memory機能をオフにして使用すれば対話内容は履歴に残りません。memory機能をオンの状態で対話をした後、記憶した情報から特定のものだけを消すこともできます。なお、個人情報などの大切な情報は記憶されないように設定されています。
memory機能の注意点
memory機能は2024年2月13日の時点でまだテスト段階でした。そのため、memory機能を使う場合には注意しておくべき点がいくつかあります。
●正確性
memory機能はチャット前に設定する条件とは異なり、AIがユーザーの好みや傾向だと判断している情報が記憶されます。そのため、必ずしも記憶した情報が正確とは限りません。chatGPTは記憶した情報を基に回答をしていくため、正確ではない情報を記憶しているとその後の回答も不適切になる可能性があります。memory機能に記憶されている情報が正確かどうかを定期的にチェックすること、そして必要に応じて不正確な記憶を削除することが大切です。
●個人情報の管理
基本的にmemory機能では個人情報などの大切な情報は積極的に記憶されることがないよう設定されています。しかし、そのような設定も完璧ではありません。そのため、個人情報などの大切な情報は自身でしっかりと管理しておくことが重要です。特にビジネスでchatGPTを使用する場合、ユーザーは一人とは限らないため注意しましょう。
memory機能を活用して、作業効率アップを図ってみましょう。