chatGPTが持つ可能性は非常に広く、実にさまざまなシーンで活用されています。その一つの使い道として、動画作成があります。といっても、chatGPTはテキストの生成を行うAIですので、そのままでは動画そのものを作ることはできません。
そこで今回は、どのように動画作成においてchatGPTを活用できるのか、具体的な制作の流れと共に解説していきます。
chatGPTで動画用台本を作る
chatGPTは、文章生成AIとして世界で最も使われているAIサービスで、動画向けのシナリオを作るのに向いています。chatGPTの特徴としては、創造性に優れた文章を書け、他言語より難度の高い日本であっても比較的自然な文章にできるといった点があります。こうした特徴を生かして、誰でもオリジナリティーにあふれた台本を作れるのです。
chatGPTでは、ある程度の設定を入力した後に命令をすることで、文章を作成できます。たとえば、「近未来の日本を舞台として、主人公となる10代の男性が悪の組織と闘う様子を描いたシナリオを書いてください」といった感じです。さらに設定を細かくすることで、自分の描きたいイメージの動画台本を作れるようになるでしょう。一度に非常に長い文章を作れるわけではありませんので、同じ設定で展開を変えながら命令を出すと、連続性のある異なるシナリオを作ることもできます。
こうした台本は、ストーリーだけでなく、登場人物ごとのセリフや構成を含めた完全なバージョンまで作れます。そのため、初めて動画作成用の台本を作る方であっても、入力条件を工夫することで出来の良いシナリオができるでしょう。chatGPTは世界中の膨大なデータを収集していますので、自分で発想もできないようなアイディアで台本ができあがってくることもあります。新しいジャンルの動画を作りたいと考える方にもおすすめです。
また、シナリオそのものだけでなく、企画案の作成にもchatGPTを活かせます。今までに動画を何本も作ってきたものの、新しいアイディアが浮かばないという時に、chatGPTに聞いてみるのです。いろいろな案を提示してもらうことができますので、その案を基に、自分のアイディアを組み合わせて台本を作り上げていくという使い方もできるでしょう。
chatGPTで生成AI用のプロンプトを作る
chatGPT単体で動画そのものを作成することはできませんが、他の生成AIツールを動かすためのプロンプトを作るのは、chatGPTの得意とするところです。そこで、まずchatGPTに細かく動画の内容や構成を指示し、対応するプロンプトを作るよう命令します。その後、そのプロンプトをコピーして、動画制作を行ってくれる別の生成AIにペーストすることで、自動的に動画制作ができます。動画制作用の生成AIの多くは英語版となっていますので、英語プロンプトを作る必要があります。chatGPTであれば、日本語の指示から英語プロンプトに自動的にしてくれるため、とても楽です。
また、動画の中に含めたい画像を作る作業に、chatGPTを絡ませることもできるでしょう。イラストや写真を生成AIで作り、カットを多数動画の中に挿入していくのは、SNS動画などでもよく使われる手法です。その画像生成AIのプロンプトを作るのに、chatGPTを活用できます。
chatGPTと連携したツールで動画編集をする
動画制作もしくは動画編集ツールには、chatGPTと連携しているものもあります。従来の動画編集では、自前で映像を作って挿入したり、音楽を入れたりする必要がありました。しかし、AI技術の発達によって、自分で撮った映像がなくても生成AIに映像を作らせることが可能になっています。動画編集ソフトにこうした機能を組み込んで、誰でも魅力的な動画を完成できるようにしているわけです。その連携機能の中に、chatGPTが組み込まれていることが多いです。chatGPTでプロンプトを作り、そのまま動画生成AIで映像を作成し、編集できるようにする形です。
また、chatGPTに字幕を自動生成させる形で連携しているツールもあります。動画の中で再生される発言をchatGPTにアップロードして、字幕を画面上に自動表示させるわけです。かなり処理速度が速く、精度も高いのがメリットです。インタビュー動画などでは重宝する機能と言えるでしょう。
他にも、AIに効果的な動画編集の手法を質問するという使い方もあります。見る人が興味を維持しやすい動画を作るには、カットの仕方やエフェクトの入れ方、音楽の選択などにスキルとアイディアが求められます。chatGPTでは世界中からたくさんのデータを蓄積していますので、こうしたアイディアを学ぶのに適しています。動画編集ツールのヘルプとしてchatGPTと連携されているものがあり、さまざまな質問への答えを得られます。
chatGPTとAIツールを使って動画作成をする流れ
では、具体的にどのような流れでchatGPTとAIツールを使って動画制作をしたら良いか、一連の流れを見てみましょう。
まず、企画案と台本をchatGPTに作ってもらいます。大まかなイメージしかないのであれば、最初に企画案の詳細を生成してもらうと良いでしょう。たとえば、「バスケットボール部の少年少女の動画を作りたいので、大まかな台本のアイディアを出してください」といった感じで入力して、企画案を作ります。その後、出てきた内容にキャラクター設定などを加えて、細かなシナリオを生成してもらいます。
次に、台本に合わせた映像を、画像生成AIで作ります。ツールとしては、MidjouyneyやAdobe Fireflyなどがあります。こうしたツールで映像を起こすための英語プロンプトを、chatGPTで生成します。その際には、どのツールで映像を作るのかを指定すると、より正確なプロンプトができます。その後、プロンプトをツールにコピペして画像を生成します。同じ設定で異なる画像を多数作って、アニメーション表示ができるようにします。シーンごとに雰囲気が変わってしまわないように、設定を微調整していきます。
こうして必要な画像ができあがったら、それを動画に変換する作業に移っていきます。Pika Labsなどの動画生成ツールを使うことができるでしょう。こうしたツールでは、画像をベースにスムーズな動画にしてくれます。全体の雰囲気やエフェクトなどについては、プロンプトで入力して指定することになります。このプロンプトも、chatGPTで作ってコピペします。最後に、細かな調整を編集機能を使って行えば完成です。
chatGPT を使って動画作成に挑戦してみよう
初めて動画制作をする方、動画編集のスキルがあまりないという方でも、AIツールを使えば高品質の動画を作れます。chatGPTで台本やプロンプトを作ることで、創造性に優れた動画にできます。作業も効率化できますので、さっそくチャレンジしてみましょう。