OpenAI社が運営する「chatGPT」が、新しいサブスクリプションプラン“chatGPT Pro”を発表しました。月額料金はなんと200ドル、円換算すると約3万円です。従来の有料版・chatGPT Plusより10倍高いという驚きの価格設定です。
そんな高額なプランで、一体どのような機能を利用できるのか、非常に気になりますよね。今回の記事では、“chatGPT Pro”の特徴や具体的な機能、名称が似ている別プラン“o1 pro mode”との違いについて解説します。chatGPTの最上位モデルを使いこなしたいと考えている方は、ぜひ一読ください。
chatGPT proでは何ができる?概要を解説
OpenAIは米国時間12月5日、「12 Days of OpenAI」と題したライブ配信にて、「chatGPT pro」の詳細を解禁しています。ChatGPT Proの最も重要な特徴は、OpenAIが開発したすべてのモデルに無制限でアクセス可能なことです。
具体的には、「OpenAI o1」と「GPT-4o」、「Advanced Voice Mode」の利用回数制限が撤廃されます。そして最上位モデル「o1 pro mode」へのアクセスもできるようになりました。
例えば、無料プランの場合、GPT-4oに利用制限がかかり、「OpenAI o1-preview」や「OpenAI o1-mini」を使用できません。月額20ドルの「chatGPT Plus」ですと、「OpenAI o1-preview」は週50回、「OpenAI o1-mini」は1日50回まで、という上限が設けられています。「ChatGPT pro」なら、このような制限は一切ありません。さらに「Advanced Voice Mode」についても、「chatGPT Plus」プランだと制限が日によって発生します。音声機能をストレスなく利用したい方も、chatGPT Proがとても便利に感じるはずです。
同社の研究科学者は、
「私たちはchatGPT proについてかなり詳細な人間による検証を実行した。その結果、o1-previewより34%ほど重大な誤りが少なく、50%ほど高速に思考することを確認した」とライブ配信で語っていました。「chatGPT Plus」でも十分便利で、ビジネスの作業効率化に貢献してくれます。どうしてOpenAIがわざわざ高額プランをリリースしたかというと、世界最高峰のモデルを開発することで、AIの覇権争いを制したい思惑があるといわれています。
昨今はGoogleやMicrosoftなど大手IT企業が続々とAIツールを開発しています。しかしながら、AI市場は勝者総取りの状態になるとみられています。OpenAIはライバル企業に差をつけたいという気持ちが一段と強いのでしょう。
上位モデルのo1 pro modeは何が違う?
先ほど、chatGPT proは最上位モデル「o1 pro mode」にアクセス可能だと説明しました。従来の機能と何が違い、どんな強みがあるのか見ていきます。
結論からお伝えすると、o1 pro modeは、通常のo1よりも深い推論・思考を行い、精度が高い回答を生成します。回答出力に要する時間は、従来モードより長くなっています。その分、専門的な知識が求められる内容に対し、熟考して高精度な文章を作成することが可能です。
o1 pro modeが特に強みを発揮する分野は、下記の3つです。
●数学
●プログラミング
●科学問題
OpenAIが報告した性能比較分析を紹介します。
①競技数学の問題集 「AIME 2024」
o1 pro mode正答率:86% / o1正答率:78%
②競技プログラミング 「Codeforces」
o1 pro mode正答率:90% / o1正答率:89%
③博士課程レベルの科学問題 「GPQA Diamond」
o1 pro mode正答率:79% / o1正答率:76%
この数字だけだと、「数学はともかくプログラミングと科学は大して差がない」と思いませんか?ところが、o1 pro modeが真価を発揮するのは、4問の難関テストに4回連続正解する確率、つまり正確性です。
「Codeforces」はo1 pro mode正答率75%に対しo1正答率64%、「GPQA Diamond」はo1 pro mode正答率74%に対しo1正答率67%となりました。
chatGPTはプロンプトが同一でも生成内容が変化する性質を持ちます。誤情報を出力するリスクを最小限に抑え高精度な回答を安定的に出力します。ちなみに、従来プランより処理時間がかかるため、待ち時間が嫌だという方もいるでしょう。o1 pro modeは生成中に別のチャットが使えて、処理終了時に通知が入る仕様です。待っている間も時間を無駄にすることはないので安心してください。
chatGPT proはこんな人におすすめ
先日のライブ配信にて、OpenAI社の最高経営責任者(CEO)は、「特にプログラマーはより正確かつ強力なモデルを求めている」と話していました。chatGPT proは、従来モデルに満足できず、高いレベルの正確なパフォーマンスを求めるユーザー向けとのことです。たとえば下記の職業に適しています。
●研究者
●エンジニア
●プログラマー
●プロフェッショナルユーザー
このような高度なタスクに従事し、chatGPTを頻繁に使用する方々にとっては、月200ドルの料金体系にも価値を見いだせるでしょう。反対に、普段調べものをしたり文章の翻訳や簡単な質問のやり取りをする程度なら、chatGPT Plusで十分です。コストに見合う使い方をできなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。
プロフェッショナルユーザーからは挨拶などの会話でさえo1-previewの回答じゃ遅すぎるという意見も出ていたそうです。一般ユーザーがわざわざ回答生成に時間がかかるツールを選ぶ必要はないので、プランを変更する理由はないです。
まとめ
生成AIの利用者が増え、多様な活用手段が確立されている中、求められる品質のレベルも向上しています。OpenAI社はユーザーたちと正面から向き合い、理想に応えるため全力を尽くし、最高峰のサービスをリリースするに至りました。chatGPT proの性能の高さには国内外から評価の声が上がっていますが、数年いや2~3年も経たないうちに「proでも物足りない」という意見が出てくるのかもしれません。chatGPTの未来にはどんな進化が待っているのでしょうか。