「IoT」という言葉を皆さん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。工場や街中だけでなく、身の回りの多くの機器がIoT対応し、AIも組み込まれて進化が加速しています。“スマート家電”と称される製品群も、ほとんどはIoT機能を搭載したものです。
近年は、優れた家電製品に囲まれたスマートホームも登場しており、私たちの生活はますます便利になります。そこで今回の記事では、IoTの基本的な概念や仕組み、快適な暮らしを実現するために知っておきたい最新家電などについて説明します。これを読めば、きっとスマート家電を手にしたくなるはずですよ。
IoTとは?IoTの変遷について解説
IoTとは、Internet of Things (モノのインターネット)の略語です。身の回りにある様々なモノをインターネットに接続し、人間の手によらずとも作動するシステムを作り、便利な生活を目指すのがIoTの考え方となります。IoTという概念は、1999年にマサチューセッツ工科大学の技術者によって提唱されました。RFIDの導入で商品管理システムを効率化するために発案されたものですが、当時は実用化が困難で、IoT自体はさほど話題になりませんでした。
2000年代、機械同士が通信する「M2M(Machine to Machine)」という技術が実現します。センサーネットワークを通じて双方の機械が情報交換を行うことが可能でしたが、インターネットに接続したわけではありません。
企業の生産性の向上や在庫管理の効率化という目的で普及した「M2M」から、再びIoTが盛り上がりを見せたのは、ドイツが「Industry4.0」という国家戦略を掲げた2012年以降です。当時、iPhoneなどスマートフォンが急速に拡大しており、センサーを安価に大量生産する体制が整いました。センサーはIoT技術に欠かせない要素で、これをキッカケに様々なIoT対応製品が登場します。
2014年には、Amazonが初のスマートスピーカー「Amazon Echo」を市場に投入しました。私たちが日常使用する家電製品にもIoT機能を搭載する機器が急速に普及し始めるのです。LINEのやり取りや血圧管理などが可能なスマートウォッチは、今やIoTデバイスを代表するツールといえます。
5G(第5世代移動通信システム)の普及のおかげで、IoTによるデータの送受信や情報処理の速度が向上しています。さらにAIと組み合わせると、データのリアルタイム解析が可能となり、最適処理を実行する精度が飛躍的に高まるのです。IoTの性能が上がり、データ処理の量が増加するほど、AIとの連携が重要になるでしょう。
IoTとの連携で進化する最新家電を紹介
IoTと連携してさらに便利になった“IoT家電”をいくつかピックアップしましょう。
●冷蔵庫
食料などを保存しておく機能を持つ白物家電の一つですが、従来の冷蔵庫とは大きな変化を遂げています。内部にカメラを搭載し、外出先からスマートフォンで冷蔵庫の中身を確認できるのです。機器によっては食品ごとに購入日や賞味期限を記録しておくこともできます。庫内の状況を逐一覚えておく必要がなく、無駄な買い物も無くなるでしょう。さらに、残っている食品を使ったレシピの提案をしてくれる冷蔵庫も発売されています。
●ロボット掃除機
自分で持ちながら操作するのが当たり前だった掃除機も、IoTと連携して激変した機器の一つです。最新のロボット掃除機は、高性能カメラやレーザーセンサーを搭載。部屋の空間全体をマッピングします。間取りや障害物の位置を正確に把握し、部屋を隅々まで綺麗にしてくれます。アプリを通じて外出先から操作できるため自分が好きなタイミングで掃除を行えるのも嬉しいです。スケジュール設定しておけば、たとえ操作を忘れても指定時間に自動的に掃除を開始します。
●自動給餌器
一人暮らしだと、仕事などで外出中ペットに餌をあげられず、色々不安になりますよね。最近はスマートフォン連動型自動給餌器が普及しています。タイマー設定も手動給餌もアプリで簡単に操作でき、外出先からいつでも餌を食べさせることが可能です。内蔵カメラで愛するペットの様子をモニタリングし、体調が悪くないか、万が一部屋を飛び出していないか確認できます。ペットがイタズラして機器から餌を取り出せないような対策もしっかり施されています。
●スマートロック
防犯対策として玄関の施錠・解錠をスマートフォンで操作できる機器も非常に人気です。外出時に玄関の鍵を締め忘れてしまっても、わざわざ自宅に戻る必要はありません。アプリを通じて簡単に施錠できるのです。鍵の操作をリアルタイムに通知する機能もあるため、不審者が自宅に侵入を試みるとすぐに通知が来ます。
AIで快適な住まいを実現するためにはどうすれば良い?
快適で安心な暮らしを実現すべく、 AIスピーカーとIoT技術を組み合わせてあらゆる機器を自由にコントロールする方法が提案されています。一例として、AIスピーカーに「いってきます」と一言声を掛けるだけでLED照明やエアコンなどを一斉にOFFにできます。カメラやセンサーを通じて子供やペットの様子を確認し、親のスマートフォンに随時報告する“AI執事”といわれる機能も人気です。
さらに、AIによってほぼ全ての家電やセキュリティシステムを自動で作動させる「スマートホーム」も登場しました。AIが居住者に関する様々なデータを蓄積して、行動パターンを学習することで指示を出さずとも思い通りに動いてくれます。帰宅して玄関を解錠した瞬間にエアコンの電源を好みの温度でON、自動でカーテンを開け、スピーカーでお気に入りの音楽を流す、こういった一連の流れがAIの判断で自動化されるのです。
このような生活スタイルを始めるためには、まずはAIスピーカーなどハブとなる機器を用意し、目的に応じてスマートデバイスを選びます。専用のアプリをダウンロード後、アプリの指示に従ってアカウントの作成などを行い、スマートデバイスをハブ機器に登録します。このような手続きを完了させると、自宅のIoT化が実現できます。
スマートホームデバイスについて詳しくないので不安だという方は、積水ハウスが提供する「PLATFORM HOUSE touch」サービスがおすすめです。温湿度センサーや窓センサーなどのIoTデータをクラウド上で蓄積し、間取り図と連動したスマートフォンアプリからエアコンなどの機器を確認・操作することができます。子供がいつ帰宅したか、部屋の温度は現在何度なのか、玄関は施錠された状態のままか、アプリ上で視覚的に把握可能なのです。同社で今後新居を注文する場合、一度相談してみるといいでしょう。
まとめ
IoTという技術そのものは10年以上前から普及していましたが、AI技術の発展により一段と便利さが向上しています。多忙な現代人に適合するかのごとく、多くの家電製品が自動化し、居住者は外出しながらスマートフォンで操作するだけであらゆる家事を行うことができます。将来は、スマートホームが新築の当たり前となるかもしれません。人間の手間をいかに削減できるかが、家電業界でヒットを生み出すキーワードとなるでしょう。1つ2つスマートデバイスを導入してみるだけでも日々の生活がガラッと様変わりするはずですよ。