chatGPTに文章作成を指示をしたとき、文字数を指定したにもかかわらず、守らないケースもあります。多すぎるだけでなく、逆に少なすぎてしまうケースも見られ、マニュアルなどの作成の際にこのような文字数の問題が起こると、せっかくのchatGPTのメリットも充分に活かせなくなってしまいます。一体なぜこのような問題が起こるのでしょうか。
それはchatGPTの「文字」に対する認識と人間の認識との間にズレがあるのが大きな原因です。本記事では、chatGPTが文字数を守らない理由とその対処方法について解説していきます。
chatGPTの文字数カウントがおかしい?
chatGPTで文章作成を指示すると、あらかじめ指示しておいた文字数とは大きくかけ離れた文字数の回答が来ることもあります。「どうしてこんな文字数になるの?おかしい」と感じるくらい、指示を守ってくれないケースも出てくるのです。どうしてこのような文字数のカウントがおかしい問題が生じてしまうのでしょうか。
まず、そもそもAIは自分が作成する文章の長さを予測することがうまくできない点が挙げられます。
人間が文章を作成する場合、あらかじめ「これぐらいの文字数/文章量にしよう」と決めたうえで、全体の構成を考えながら作成していくことができます。しかし、AIにはそんな人間には当たり前の能力は充分に備わっておらず、質問や指示に対する適切な答えを出すために文章を作成していきます。その結果、必要な回答に必要な文章をすべて表示するために、あらかじめ指示した文字数を大幅に超過する結果になったり、逆に極端に少ない文字数になってしまったりすることもあるのです。「そもそもchatGPTは文字数のカウントを意識して文章を作成していくのが苦手である」という認識で使用していく必要がありそうです。
もうひとつの大きな理由は、chatGPTにおける文章作成の前提となっている「トークン」という単位の存在です。chatGPTでは言語を「トークン」という単位で認識し、それに基づいて文章を作成しています。後述するように、chatGPTには文字数制限が設けられていますが、この制限も正確には「文字数」ではなく、「トークン」によって設定されているのです。
これが「文字数=トークン」ならよいのですが、日本語の場合、文字数とトークンの数が噛み合っていません。具体的には、ひらがな1文字に対して1〜2トークン、漢字1文字に対して1〜3トークン程度の設定になっています。プロンプトで「◯◯文字以内で作成してください」と指示しても、chatGPTはトークン単位で作成するため、指示通りの文字数にならないことが多いのです。このトークンの存在こそ、私たちがchatGPTの文字数カウントがおかしいと感じてしまう最大の理由と言ってもよいでしょう。
chatGPTの文字数制限について
chatGPTの文字数指定の問題に関しては、文字数の制限についても知っておく必要があります。chatGPTの使用には文字数(先述したように正確にはトークン)の上限/制限が設けられており、それ以上の文字数には対応していないのです。そのため、長文の説明や回答を求めるプロンプトを出した場合、文字数指定に従わずに回答が作られることがあります。
この文字数制限に関しては、無料版か有料版かで大きな違いが出てきます。chatGPTに質問・指示をして回答を求める場合、無料版の場合は約4000トークンほどです。先述した日本語の文字数とトークンの関係で換算すると、2000文字ちょっとくらいの範囲となっています。これが有料版になると、一気に多くなって約3万2000トークン、文字数にして2万5000文字程度となります。文字数制限がもたらす文字数指定を守らない問題に関しては、無料版の方がより起こりやすいということになるでしょう。
もし日常のchatGPTの使用で指定した文字数をなかなか守らないと感じている場合には、まず回答が長文になる指示になっていないかを確認してみるとよいでしょう。長文になる場合には無料版から有料版への切り替えを検討するか、または質問・指示の内容を複数に分割するといった対策方法が有効です。
chatGPTの文字数制限を回避し、文字数指定通りに作成させる方法
chatGPTの文字数制限の問題に関しては、先述した方法に加えて、回答を分割して出すよう指示する方法もあります。こちらが質問/指示を複数回に分けるのではなく、chatGPTの回答を複数に分けさせるわけです。
この方法では、プロンプトにおいてあらかじめ「見出し」を用意しておき、「見出しごとに作成してください」と指示することで可能です。これによって事実上、見出しごとに回答する形になるため、文字数制限を回避したうえで文字数指定通りに文章を作成させやすくなります。もちろん、見出しごとの回答で文字数制限をオーバーしないように、見出しの内容を工夫することが大前提です。
別の方法として、英語で指示を行う方法もあります。日本語に比べて、英語の方がアルファベットを使用する関係でより多くの文字数を使用することができます。ある程度英語ができることが前提になりますが、英語対応が必要なマニュアルの作成などの際にはかなり役立つ方法です。
こうした文字数制限を回避する方法のほかにも、文字数指定をできる限り守らせる方法もあります。プロンプトでchatGPT自らに「出力する前に文字数をカウントしてください」「カウントしたうえで、指定した文字数の条件を満たしていることを確認した場合に限定して処理してください」といった指示を記入することにより、指定した文字数に合った回答になります。なお、この場合には文頭もしくは文尾に、「この文章は◯◯文字で指示の範囲内に収まっています」との文章が付け加えられます。文字数の上限だけでなく、下限も設定することで、指定文字数に近い結果にすることができます。
また、どんな目的で質問するのかを指定しておくと、指定文字数に近い回答になる傾向が見られます。例えば、「レポートのための要約を作成してください」「メール作成に相応しい文章を作成してください」といったプロンプトに指定文字数を加えることで、より適切な内容の回答が作成されやすくなります。
注意したいのは、こうした方法を行ったとしても、指定文字数を完全に守った文章を作成させるのは難しいこと、そして文章が長くなればなるほど内容そのものの精度が落ちてしまう点です。長文の回答を前提にした指示をするときには、文字数だけでなく、その内容についても注意する必要があるでしょう。chatGPTに文章を作成させた場合には、文字数カウントを確認するだけでなく、内容にもひと通り目を通して確認することが重要です。
一度の回答で期待した内容や文字数の結果が出なかった場合には、その文章をそのまま記入したうえで、改めて文字数の調整、不要な部分を削除するプロンプトを行うことで内容に磨きをかけていくこともできます。一度だけで指定文字数に合った文章を作らせようとせず、何回かに分けて調整してみるのもよいでしょう。
まとめ
chatGPTと人間との間では「文字数」に対する捉え方そのものが異なっており、人間が考える文字数をそのままchatGPTに守らせるのは難しい面もあります。文字数制限も意識しつつ、長文になる回答はできるだけ避けること、必要に応じて質問・指示内容を分割することで、こうした問題を回避しやすくなるでしょう。今回紹介したプロンプトの工夫も試してみながら、より文字数指定を守らせながら作成できる方法を探ってみましょう。