chatGPTの根幹であるチャット機能の活用法として、「なぜなぜ分析」を行ってもらうことが有益です。大量のデータを学習しているchatGPTは、与えられた情報を的確に分析する能力が優れています。昨今、ビジネスの現場でも、原因究明の手助けに生成AIを取り入れる企業が増えているのです。
本記事では、「なぜなぜ分析」の仕組みがよく分からない方でも理解できるよう、基本的な概念からchatGPTを活用する具体的なプロセスまで、順を追って説明していきます。
なぜなぜ分析とは?
そもそも「なぜなぜ分析」とは、トヨタ自動車が発案した分析方法です。問題やトラブルが発生した際に、表面的な理由ではなく、根本の原因を追求する手法として知られています。
やり方自体はとてもシンプルです。特定の事象について、「なぜ?」という問いを5回繰り返します。この過程を通じて、深い部分の問題を究明していくのです。
同社いわく、5回繰り返す理由は、「5回繰り返せば大体の原因が突き止められるから」だそうです。よって、必ずしも5回にこだわる必要はありません。原因の根幹に辿り着くまで、妥協せず徹底的に問題点を洗い出すことが大切です。なぜなぜ分析を実行するにあたって、いくつか重要なポイントがあります。
●複数人で行う
●個人の主観や感情を排除する
●具体的な数字や(機械などの)名称を挙げる
●特定人物の責任にはしない
このように、なぜなぜ分析は複数の人間が、分かりやすく丁寧に原因究明を進めていきます。普段ビジネスの現場でも、何か問題が発生して「なぜ?」を追求する場面は度々登場しますが、さほど時間を費やせないのが実情です。個々のタスクに追われている状況の中、複数人が集まって分析作業に注力するのは、現実的に難しいですよね。
そういった時にchatGPTを活用すると、「なぜなぜ分析」に要する時間を大幅に短縮できます。問題解決プロセスにおいて、chatGPTが重要な役割を担うようになるでしょう。
なぜなぜ分析を行うサイトのaiプロンプトを紹介
なぜなぜ分析は、大きく分けて5つの手順から構成されます。
①問題点を明確にする
②原因を追求する
③原因を特定する
④解決するための対策を実施する
⑤再度分析を行い、解決策が有効か検証する
まず何が問題なのか明らかにして、原因を探り、対策を講じて、しっかり解決できたか検証するまでが一つのプロセスです。chatGPTは②の原因追求の場面で活用することをおすすめします。適切に分析し、根本的な原因を特定するには、プロンプトを詳細かつ具体的に入力する必要があります。ここでは、誰でも簡単に使える汎用性の高いプロンプトの例を紹介します。
サンプル①:chatGPTになぜなぜ分析を5回行わせる方法
○○○○(問題点)について、なぜなぜ分析をしてください。以下に記載する {情報} を参考にして、 {条件} に沿って回答をしてください。
#情報
・具体的な状況
・問題による影響
#条件
・「なぜ?」の内容が誰にでも理解できる内容であること
・1番目から5番目までの「なぜ?」が論理的に繋がっていること
なぜなぜ分析が質問と回答を5回繰り返すものであるとchatGPTは認識しているため、「5回質問を繰り返してください」などと記載しなくても大丈夫です。
サンプル②:一つずつ質問を投げかけ、複数の原因と理由を提案させる方法
あなたは優秀なコンサルタントです。次の {問題点} について、考えられる原因を3つ挙げ、それぞれの原因に対して具体的な理由を3つずつ説明してください。もし必要な情報があれば、こちらに質問してください。
#問題点 (以下は自由記入)
出力された回答の中から、問題点に合致する内容があれば、それを基に解決策の検討に移ります。該当するものがなければ、もう少し詳しい状況説明など情報を加えて、改めて質問してみましょう。
サンプル③:製造業などにおいて、事故やトラブルの原因を分析する方法
企業のプロフェッショナルな安全・危機管理担当者の立場から、なぜなぜ分析を使って次の #事故 の根本的な原因を究明してください。
#事故 (以下は自由記入)
#アウトプット 1. 人間 2. 機械 3. 材料 4. 方法 以上4つの観点から、それぞれ「なぜ?」を5回繰り返してください。
すべての「なぜ?」が発生しなければ #事故 を避けることができたのかも説明してください。
製造業のケースですと、トラブルの原因が複雑に絡み合っていることも多々あります。多角的な視点からchatGPTに分析を実行させると、問題の部分が早急に発見できるかもしれません。
copilotでもなぜなぜ分析はうまくいく?
Copilotは、Microsoft社が提供する生成AIです。「Microsoft Edge」の検索エンジンサービス「Bing」の機能として登場し、「Bing Chat」という名称から「Copilot」に変更されました。“テキスト主体の生成AI”という観点で、chatGPTとCopilotは共通しています。ブラウザから誰でもアクセスすることが可能です。無料版のほか、高性能な有料プランもある点もやはりchatGPTとよく似ています。
それでは、Copilotを活用してなぜなぜ分析を行うことはできるのでしょうか?結論からお伝えすると、chatGPTと同様に、大量の学習データを基に分析を実行してくれます。例えば、Copilotで「地球温暖化が深刻化している問題について、なぜなぜ分析をしてください」と入力すると、
●なぜ地球温暖化が進行しているのか?
●なぜ温室効果ガスの排出が増加しているのか?
●なぜ化石燃料の燃焼が続いているのか?
●なぜ再生可能エネルギーの利用が普及していないのか?
●なぜ政策や規制の遅れが問題となっているのか?
と順序立て、なぜなぜ分析を進めてくれました。プロンプトで「解決策を3つ以上提案してください」と別途入力すれば、上記の問題点に関する解決策もアウトプットします。
また、「日本の実質賃金が上昇しない原因について、なぜなぜ分析をしてください」とちょっと難しい問題を投げかけても、Copilotは原因の解明を行いました。同じ質問でも、chatGPTとCopilotで回答内容が異なるケースもあるため、双方を比較しながら、自分が最もしっくりくる回答を探してみる使い方もいいでしょう。
まとめ
なぜなぜ分析は、日本が世界に誇る大企業・トヨタ自動車が発案した手法であり、多くの企業で導入されています。発生した問題を放置し、後々取り返しがつかない事態に陥るリスクを避けるため、「なぜ?」を繰り返し原因の根幹を洗い出すものです。
一方で人員と手間がかかる作業のため、生成AIにプロセスの一部を代行してもらうと時間を短縮できます。分析を何度も行えば、きっと根本的な問題を突き止められるはずです。時間がないからといって原因追求をおろそかにするのではなく、生成AIの活用で効率的を解決を実現してください。