データ分析は、ビジネスを円滑に進め、企業として成長するために欠かせない作業です。しかしながら、「長年データは蓄積しているけど活用方法が分からず手を付けていない」という企業も少なくないかと思います。
通常、緻密なデータ分析を実行するには、専門的なスキルを有するデータサイエンティストが必要です。もし自社にそういった人材が不足しているなら、生成AIを利用してデータ分析を行ってみましょう。生成AIを上手く活用すると、データサイエンティストがいなくてもデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現が可能になります。
本記事では、データ分析を身近なものにする生成AIについて、詳しく解説します。具体例を挙げながら手順を紹介していきますので、ぜひ最後まで一読ください。
生成AIがデータ分析に与えるインパクトを解説
生成AIでデータ分析をする手法が普及し始めたのは、ChatGPTの機能の一つ“Code Interpreter(現Advanced Data Analysis)”のリリースが大きな転機だったといわれています。テキスト情報だけではなく、CSV、Excel、PDFといったファイルを直接読み込むことができます。データを簡単に取り込み、多様なデータ分析が可能になったのです。
データサイエンティストのようなプロフェッショナル人材を雇う代わりに生成AIを活用すると、以下のメリットがあります。
①顧客の感情を分析できる
②効率的なデータ分析
③分析にかかるコストの削減
④データクリーニングの自動化
⑤パターンや規則性を発見
⑥新しいアイデアを生み出す
⑦非構造化データの処理
●顧客の感情を分析
アンケート調査を実施して、質問に「Yes/No」で回答した箇所にかぎらず、自由回答欄に書かれた文章から顧客の感情をAIが分析します。サービスや商品に対してポジティブなのかネガティブなのか、数値だけでは把握しづらい感情の理解を促してくれます。
●業務効率化/コスト削減
テキストや画像などデータとしてまとまっていない“非構造化データ”を、ExcelやCSVなどの“構造化データ”に変換できるのも大きな利点です。分析を行う前の準備にかかる手間を短縮でき、Excelへの打ち込みも不要となります。生成AIの活用すれば、これまで人間が費やしてきた時間や負担を大幅に削減可能なのです。専門機関に外注する必要がなくなり、新たに人材を採用せずに完結できるのでコスト削減も実現します。
●データクリーニングの自動化
Excelファイルにまとめたデータの一部が欠損していると、正常に分析を行えない場合があります。生成AIなら、欠損部分を削除する“データクリーニング”を自動化できます。人間の目で欠陥を探すと大変な労力を要するので、上記の効率化にも繋がるわけです。
●新しいアイデアやパターンの発見
生成AIをデータ分析に使うと、膨大な情報から関連性やパターンを抽出できます。さらに、データに基づいて新しいアイデアを生み出すことも可能です。深い洞察によって戦略を提案したり、新たな発見を得ることができるでしょう。
このようにメリットが多いのですが、デメリットもいくつかあります。「出力が正確とは限らない」「エラーのリスク」「数値処理の苦手」といった欠点が挙げられます。
ChatGPTやGeminiなどの大規模言語モデルは数値処理が苦手だといわれています。また、出力された結果が必ずしも正しいとは限りません。誤った情報を生成してしまうリスクが付き纏います。生成AIの分析結果を人間がしっかり検証し、誤りがないか確認するほうがベターです。
初めてでも安心!AIで始めるデータ分析を具体例を交えて解説
生成AIでデータ分析を行う手順について、ChatGPTを例にとって簡潔にまとめると、以下の通りです。
①データの収集・準備とアップロード
②プロンプトの入力
③分析結果の確認
データ分析に役立つツールは多数リリースされていますが、今回は初心者の方も使いやすいChatGPTの「Advanced Data Analysis」の活用法をお伝えしていきます。Advanced Data Analysisは、グラフ作成やプログラミングコードの自動生成ができるツールです。
●売上データをグラフ化する場合
数値データを準備して、ファイルをアップロードします。
「記載した10個の商品の日別の売上数を、折れ線グラフで表示してください」
「月別の平均売上を表す棒グラフを作成してください」といったプロンプトを入力します。
●データの要約や分析を行う場合
「添付したファイルを読み込んで、×××社の財務諸表を分析してください」
「顧客データから、平均年齢、中央値を計算して表にまとめてください」
「売上データを読み込んで、期間内のトレンドや季節性を分析してください」
といったプロンプトを入力すると、アップロードしたファイルの詳細なデータ分析を実行できます。
●レビューを分析する場合
「顧客レビューのデータから、感情をポジティブ/ニュートラル/ネガティブに分類してください」
「複数寄せられた意見を抽出して、全体的な傾向を分析し、まとめてください」
まとめ
生成AIの普及によって、人間がExcelなどを駆使して行っていたデータ分析を、とても効率的に進めることが可能になりました。ユーザー側の指示をプロンプトに入力すると、その内容に沿って分析を実行するので、型にはまった分析ではなく場面ごとに最適な分析ができます。分析結果を完全に鵜呑みにするのも難アリですが、工数を削減できるのは間違いありません。まずは重要度が低めのデータ分析で試してみて、次第に活用頻度を増やしてみるといいのではないでしょうか。