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Googleの生成AIに関する取り組みは今どうなっている?最新の状況を解説

グーグルの生成AIの取り組み

生成AIの技術は、IT分野にとどまらず、現代社会のさまざまなジャンルにおいて大きな変化をもたらしてきました。全体としてはより良いIT技術の向上に役立つものとなっていますが、社会的な課題が残っているのも事実です。
IT企業の最前線にいるGoogleは、生成AIに関するさまざまな取り組みをしており、信頼でき、さらに優れたサービスを提供するための基盤を作ろうとしています。この記事では、具体的にどんな点でGoogleが生成AIに関する取り組みをしているのかを取り上げます。

生成AIに関する社会的課題についての取り組み

生成AIは、今までの産業構造を変える可能性すら秘めた非常に大きな変化をもたらしています。そのため、AIについて心配する声が出ているのも事実です。こうしたことから、Googleは生成AIにまつわる社会的課題に対応するべく、さまざまな取り組みを行っています。どんな点で課題解決のために動いているのかをチェックしてみましょう。

生成AIの安全性を高める取り組み

生成AIは、個人情報の違法な収集やフェイク情報の作成・拡散などのリスクをはらんでいるとされています。また、AIシステムに対する不正攻撃により、システムを不正に操る恐れや重要データの漏えいといった問題が起こる可能性があります。
そこで、Googleでは今まで培ってきたハイレベルなセキュリティー技術を用い、安全なシステムを構築できるよう取り組んでいます。また、自分たちで運用しているAIサービスについて、なんらかの脆弱性を発見できた人に報酬を支払うプログラムを発動し、リスクの早期発見を試みています。

他にも、敵対的なテストをAIシステムに仕掛ける取り組みも行っています。これは、生成AIを動かすシステムにあえてハッキングをして、システムに侵入したり、誤作動を引き起こしたりする可能性を探るものです。サイバー攻撃の標的になりやすいセキュリティー上の穴などを見つけることで、対策を講じることができるわけです。

生成AIに対する信頼を高める働きかけ

生成AIについてはさまざまな意見があり、中にはAIが人間にとって脅威となるという意見を持つ人も少なからずいます。また、実際にAIによってフェイク情報が作られることもあります。そこで、Googleでは生成AIに対する信頼を高める働きかけをしています。

具体的には、AIを開発、運用するための明確なポリシーやルールの策定があります。倫理的に問題がある情報やコンテンツの作成を禁じるなどのルールを掲げ、AIの悪用を防ぐのが目的です。
また、AIで生成した画像や動画、音声などについては、それがAIによるものだということが分かる技術の開発も進めています。いわゆる「デジタル透かし」で、人々がフェイク情報に誤って誘導されるのを防止します。同時に、リアルなコンテンツなのか、AIによって作成されたものなのかを解析し、それを表示する技術の開発も進めています。こうすることで、正しい検索結果と情報の提供をすることができます。

生成AIによる社会貢献

生成AIを正しく活用することによって、社会貢献することを目指した取り組みもなされています。たとえば、医学的な問題について、AIが正確に専門的なデータを分析し、適切な治療法などを提示できるようになれば、医療に貢献することができます。同じように、水害の予測によって災害リスクを下げたり、渋滞を予測して二酸化炭素の排出量を減らしたりなど、多くの人に関わる日常的な課題を解決することでも社会貢献が可能です。このような予測や分析、データの提供は生成AIの得意とするところです。強みを生かした積極的な活用で、人々の役に立てるでしょう。

Googleが進める生成AIサービス

Googleはこれまで長い年月をかけてAIの開発を進めてきました。そのため、さまざまな生成AI関連のサービスをすでに提供しています。
最も一般的な生成AIサービスの一つに、「Gemini」があります。Google Workspaceと連動させることで、メールやスライド、文書などの作成を支援するものです。たとえば、Gメールと連動して、下書きの案を出したり、受信したメールスレッドの内容を要約したりします。

ドキュメントについては、作成した文章の内容に応じて支援を行ったり、スペルや表現チェックをしたりします。スプレッドシートでは、データを自動で分類・分析をすることができますし、チャートやグラフ、関数などを自動生成します。スライドでは、資料に挿入するための動画や画像を生成したり、BGMをオリジナルで作ったりできます。

また開発者向けのサービスとしては、「Vertex AI」があります。Google Cloudによる機械学習モデルを開発し、運用するための管理ツールです。ノーコードでも作り上げられるのが特徴で、スムーズで素早いAI環境の構築をサポートできます。

このように、Googleでは一般ユーザー向けのものと開発者向けの高度なシステムの両面で、サービスを提供しています。全体としては、ビジネス利用をイメージしたサービスがメインとなっています。

将来を見据えた先進的な生成AIの開発

Googleでは、生成AIの活用をさらに日常生活の中で浸透させるべく、将来を見据えた先進的なサービスの開発を進めています。その多くはまだ構想段階にありますが、AIがどれだけ人々の生活に関わっていくかを示すものとなります。

たとえば、2024年5月にGoogleのCEOは生成AIについてのコメントを出していて、その中で動画検索をより進化させることを発表しています。作りたい料理の名前を入れると、レシピを表示するだけでなく、詳しい調理法が見られる動画をピンポイントで教えてくれるといった形です。
さらに、生活の中で普通にAIを使うことも想定しています。たとえば、スマホやスマートグラスで映し出されている状況を分析して、どこに置いたのか忘れてしまった財布を発見して、その場所を教えてくれるといった機能を開発しています。今までの生成AIは、単に情報を教えてくれたり、オンライン上のコンテンツを作ったりに限られていましたが、人々の日常の行動そのものを支援する役割を果たすようになるというわけです。

もともと、Googleはスマート家電などの分野で高い技術を持っていますし、世界中のユーザーからのフィードバックもあります。そのため、AIと日常的に使うアイテムとの連携をさせるのはGoogleにとって難しいことではありませんし、目指すべき目標でもあるのです。

IT界における世界的なリーダーとして君臨しているGoogleは、人々の生活と産業に大きな影響を与えている生成AIについて、さまざまな角度から有益な取り組みをしています。それは、社会的な課題を解決するものであったり、将来につながる便利なサービスの開発であったりします。こうした取り組みを知り、AIの未来について考えてみるのも良いかもしれません。

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